らららの話

文が下手なので文を綴ります お手柔らかに

大学生を終えて社会人になる前に

 

 

 

部活で帰りが遅い日に割り勘で買うからあげ棒

クーポン片手に放課後20分歩いて行くミスド

黒板のメッセージと2Lのコーラで祝う誕生日

マフラーを一緒に巻いて歌う息の白い帰り道

バレンタインに裏をかいて準備するお煎餅

電車を待つあいだのベンチでのおしゃべり

カウンター席で足を揺らながら食べるラーメン

ファミレスのドリンクバーと大盛りポテト

セミの声が聞こえる夜の公園と手持ち花火

 

私が幸せだと感じるものは

いつも単純なものばかり

お金がかからなくて

でもお金では買えなくて

大したことじゃないけれど

大したことじゃないのが

好きだった

 

レストランで次の料理を待つ時間よりも

牛丼にサラダを付けるか迷う時間が好きで

火花を散らす豪勢なバースデープレートよりも

不恰好に切り分けられたケーキがおいしかった

 

街中の背の高いビルから見下ろす夜景よりも

地元の温泉の望遠鏡から覗く景色が綺麗だったし

余白の広いお皿に乗ったお洒落なスイーツより

たまに食べるハーゲンダッツが至福だった

 

インスタに載せるために行く映えスポットとか

写真を撮る間に溶けて崩れてしまうアイスとか

はいチーズで無理やり作るぎこちない笑顔とか

そういうのがなんとなく自分には大人すぎた

 

いつの間にかSNSが自己顕示欲の塊に見えて

キラキラした表向きの姿だけが切り取られた

私は私で好きなものを載せればいいはずなのに

人の私生活を干渉し干渉されることに

勝手に気疲れしてしまっていつの間にか離れた

使い方はもちろん人それぞれで使い方次第では

便利なツールなはずなのにその度合いが難しい

 

散らかった部屋も

脱ぎっぱなしの靴下も

使い古した歯ブラシも

毛玉だらけのセーターも

キッチンで再生栽培する豆苗も

レシートがパンパンのお財布も

画角からフレームアウトされて無かったことに

 

段々加工アプリに写る顔がみんな同じに思えて

自分の顔に至っては宇宙人に見えて仕方ない

機能を使いこなせなかったことが第一だけど

私はこの先もデフォルトのカメラを使うかな

 

人に限らずものを撮るときもそうだけど

その時の色合いとか雰囲気をそのまま残したい

過剰な加工は記憶を歪めてしまう気がするから

等身大であくまでナチュラルにいきたいところ

 

おいしい食事とそれを楽しむ相手との時間

それ以上望むことなんて何ひとつないのに

居酒屋で酔っぱらうことが目的になって

ご飯の味も話した内容も記憶に残らず

どうでもよくなってしまうのが大人なら悲しい

一緒にいる相手が自分である必要性を

見出せなくなった瞬間はやるせなくて虚しい

 

でも、自分の考えだけが正しくて

誰かの考えは間違っているなんてないから

他人は他人 私は私の思い描く大人像で

それぞれ違っていていいんだろうなと思うし

違っていないとつまらないと思う

大人という言葉に囚われなくても

気づいたらなってるものだとも思う

 

私だけがいつまでも子どもに取り残されて

周りはみんな大人になっていったとばかり

思っていたけれどそうでもないのかも

 

何重にも包装されたハイブランドじゃなくても

そのプレゼントを用意するときに自分のことを

考えてくれたんだなと思うとその時間が嬉しい

自分のためにかけてくれた手間隙が嬉しい

 

何も起こらなくても楽しんで

何か起きても楽しめたらいいなと思う

色んなことが義務になりすぎず

感情が動く経験を忘れない大人になりたい

ロボットみたいな生き方はしたくない